校庭
誰もが教室にいる時間
校庭を見ていた
耳を澄ますと遠い水平線から汽笛が届いたこと
野良犬が通り雨とともに走り去ったこと
いつも早退してしまう子がいたこと
かすり傷、くらいの深さで
誰かとかかわりあうすべもなく
ひとりだけの
ちいさなまばたきは
積もらなかった雪のように
家に帰るとひとつも残らず
見た、と
見なかった、は
同じ重さにしかならなかった
それでも
次の日もまた
始業のチャイムのあと
校庭を見つめていた
ひとも 風も 雲も
止まれずに ひたすら駆けてゆく
それをまばゆさ、と呼ぶことや
目のとじかたさえも
まだ知らなかったころ
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