2017年6月13日火曜日

水の季節に

今年の前半は、H氏賞や日本現代詩人会のホームページの投稿欄の選考にかかわっていたこともあり、気ままに机に向かうというよりは、課せられているものをこなすための体力と気力の持続を優先する、という少し緊張感のある時間が続いていた。


けれど、2月に第三詩集を出したおかげで、複数の詩誌や新聞などから声をかけていただき、その作品に集中しているうちに、書くことがまた自分のなかに自然と戻ってきたような気がしている。


机の前に座っていると、いつしか雨が降り出して、その水音が知らぬ間に、周りの土を潤し、新しい発芽を呼び込んできてくれたかのような、充実の時間。


わたしは、いつも詩を書くとき、遠い憧れのようなものを漠然と描いていて、そこに少しでも近づけたらという思いでことばを探している。


大好きな詩人の作品までの、絶望的な遠さ。
けれど、こつこつと書いているうちに、その目指す光までの遠い距離が、自分を導いてくれる勇気にも思えてくる。


詩集刊行のあとに書いたいくつかの詩も、そんな勇気のなかで出来上がったのかもしれない。


詩誌などへの掲載が落ち着いたら、今度は、個人誌でも作りたいなとも思っている。
今までとは違う書き方もしてみたいな、とぼんやりと、楽しく思いながら。