2019年7月17日水曜日

小さな詩集「Sillage 夏の航跡」について

7月に、ある詩のイベントにお越しくださった方々へお渡しするために、小さな詩集を作りました。
『Sillage 夏の航跡』。
「7月」にちなんで、第三詩集以降の「7」篇の詩を収めました。

ささやかな、けれど愛着のある作品を集めた一冊です。
もともとはイベントでの配布のために制作した小詩集ですが、「イベントには参加できないのですが、冊子のみ購入できませんか」とのお問い合わせをいただいたこともあり、通販サイト「BOOTH」で販売しました(※現在在庫なし)。

一冊を通して、雨や霧などの水の気配や、星や月あかりを潜ませました。

そうした作品のイメージに合わせて、文字色も青に、表紙周りも水のイメージで仕上げました。
表紙裏には、レインブーツのようにつるつるの光沢と質感の、ファンタスという紙を使用。
そして、表紙と扉の間には、水滴の模様の遊び紙を…。

タイトルの『Sillage』(シヤージュ)は、このブログのタイトルでもありますが、「航跡」という意味のフランス語です。

ささやかですが、わたしが通りすぎたいくつかの時間の航跡を感じていただけたらうれしいです。
数に限りがありますので、ご興味ある方はぜひ。

「雨、と思うよりさきに
別れ際の肩から
水の匂いがした

雨ではなく
一度だけ歩いた
湖の岸の
花の気配だったのかもしれない」
(「アクアマリン」より)

収載作品 初出:
「消印」(東京・中日新聞2017年6月24日)
「アクアマリン」「薔薇窓」(『Rurikarakusa』7号)
「紅玉の」「舟のなかで」(『森羅』14号)
「花びらと」(『孔雀船』90号)
「逢瀬」(『交野が原』85号)