2018年11月29日木曜日

『現代詩手帖』12月号 詩書展望について

『現代詩手帖』での「詩書月評」。
無事に12月号にまでたどり着いた。


『現代詩手帖』12月号は、「現代詩年鑑2019」、
つまり一年間の詩書を振り返る号。


わたしも、「詩書月評」最終回の原稿、「詩書展望」に、「死者たちの彷徨から非在のユートピアへ」というタイトルをつけ、今年刊行された多くの詩集を読んでいて目についたことから語り始めることにした。


今回紹介した新しい詩集は以下のとおり。


水下暢也『忘失について』
佐々木貴子『嘘の天ぷら』
岩倉文也『傾いた夜空の下で』
櫻井周太『さよならを言う』
小松宏佳『どこにいても日が暮れる』
松岡政則『あるくことば』
タケイ・リエ『ルーネベリと雪』
谷川俊太郎『バウムクーヘン』
山本純子『きつねうどんをたべるとき』
松川紀代『夢の端っこ』
野木京子『クワカ ケルル』
時里二郎『名井島』


どう読まれるか、どう読ませるかという読み手に対する意識や、構成や言葉選びの必然性と精錬を感じさせる詩集、あるいは、詩の言葉の領域を広げる勇敢な試みである詩集、そして何よりも、みずみずしい詩情を持つ詩集を紹介できたと思う。


毎月、1、2冊は大きく扱おうと心掛けたため、紹介できる詩書の数は限られてしまったけれど、一年を通して、83冊の詩集について触れることができた。


詩集は、読む人のそのときの心情や情況や年齢によっても、印象や解釈が変わる。だからこそ、いつまでも読み終えることができない、魅力的な書物だと思う。
「詩書月評」で紹介した詩集も少し時間をおいて読み返したら、また新しい発見を与えてくれるはずだ。





詩集をお送りくださったみなさま、月評をお読みくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。
そして、一年間、温かく的確なご感想をくださり、校了までこまやかに導いてくださった『現代詩手帖』編集部のご担当の久保さん、藤井編集長、編集部のみなさまに、心よりお礼を申し上げます。
ありがとうございました。