2021年12月19日日曜日

山口市立中央図書館「詩の教室」について

 2022年1月23日(日)、山口市立中央図書館にて、「詩の教室」と題して詩についてお話します。

日時、内容(予定)は以下のとおりです。

日時:2022年1月23日(日) 10時30分~12時

ご参加方法:オンライン、または山口市立中央図書館内にてパブリックビューイング(私も東京から画面越しにお話します)。どちらも無料、各50名様までです。

山口市立図書館ご利用の方を対象にしたイベントですが、県外の方もご参加可能とのことです。

「詩の教室」内容:

詩は、俳句や短歌とは異なり、書き方の決まりはとくになく、自由に書いてよいとされています。けれど決まったルールがないぶん、どう書いていいのか、どう読んでいいのかわからないという声もよく聞きます。

そこでまず、私自身の詩との出会いや私が詩に惹かれる理由をお話しつつ、詩という創作の特徴にふれていきます。

次に、山口県生まれの詩人である金子みすゞの詩や、現在活躍する詩人たちの作品を具体的に読み、その魅力をご紹介します。詩をふだん読む機会のない方にも読みやすく、かつ、比較的入手しやすい「現代詩文庫」(思潮社)で作品が読める現代詩人23人を紹介する予定です。

(池井昌樹さん、松下育男さん、小池昌代さんの作品を予定)

 そのあと、私自身の詩の書き方についても、実際に作品を読みながらお話したいと思います。一篇の詩を読むことと書くこと。その両方の魅力をお伝えできたらと願っています。

当日の話の流れによっては、上記の内容から多少変化することもありますので、ご了承いただけましたら幸いです。

よろしくお願いいたします。

◆お申込み、お問い合わせは

山口市立図書館のサイトへ→こちら




2021年6月25日金曜日

詩「夏の雨と」(読売新聞夕刊掲載)

 6月25日(金)の読売新聞夕刊に詩を寄稿しました。

 入手しづらい方のために、こちらに写真を載せておきます。

 

夏の雨と


 

 



2021年5月12日水曜日

夏の詩誌『BLUE PERIOD』について

 昨年は、ある程度ボリュームのある個人誌『glass』を発行しましたが、今年は2号めを続けて作るよりも、何か違うことをしたいな…と考えていました。

今年もまた昨年同様、自由に遠出や外出ができない状況が続いているせいか、日々のなかで無意識のうちに息苦しさを感じることがあります。そこで、心だけでも小さな旅に出るために、軽やかなかたちの詩誌を作ってみてはどうだろう、と思いつきました。

そう、夏の青い風や光や匂いをはらんだ、一枚の手紙のような詩誌を。

そして、5月5日に『BLUE PERIOD』という詩誌を発行しました。

詩誌とはいっても、多くの方に気軽に手にとってもらいたいと思い、今回は、テイクフリー(無料)の二つ折のリーフレットタイプにしました。

BLUE PERIODというタイトルが示すとおり、詩誌には、「青」をどこかにちりばめた詩を3篇収録。

1篇めの「CURTAIN」は、ある夏の物語を辿るような行分け詩。

2篇めの「DROPS」は、英単語と短歌(一行詩とも読める)を1セットとして、何セットか組み合わせて一篇とする横書きの詩。

3篇めの「MIRROR」は、「粉々に割れた鏡に映る/無数の満月」というフレーズをやや変化させつつリフレインさせる行分け詩。

昨年の個人誌のときと同じように、今回も、東京の七月堂さんと大阪の葉ね文庫さんに置かせていただいたほか、通販サイト「BOOTH」を通して、ご興味のある方に向けて通販もしました(フリーペーパーのため送料のみの価格で)。

Twitterをご覧くださったたくさんの方からご注文いただいたおかげで、10日間でBOOTHの在庫はなくなりましたが、七月堂さんと葉ね文庫さんにはあると思います。ですが、今はまだ外出しづらい状況が続いていますので、もう少し落ち着いたころにでも、それぞれのお店でご覧いただけたらと思います。

今回も、BOOTHでの通販を通して、ご購入くださった方から直接ご感想やありがたいメッセージをいただいたり、と、とてもうれしい時間を経験させていただきました。

お求めいただいたみなさまに心より御礼を申し上げます。

ご参考までにBOOTHのページも載せておきます。

BOOTHはこちら

 









 




2021年4月14日水曜日

「イリプス IInd」に詩を寄稿しました

「イリプス IInd」は、倉橋健一さん、たかとう匡子さん、松尾真由美さん、渡辺めぐみさんなど、詩の優れた書き手でもあり、読み手でもある詩人たちが参加している、読み応えのある詩誌。

 その33号(2021年3月10日発行)に、詩を寄稿しました。

今回は、ご依頼時に、「詩の長さは自由でOK」とおっしゃっていただいたので、5ページにわたる、やや長めの散文詩を書きました。

(奇しくもこの号では長めの散文詩が多かったようで…。「200ページを越えてしまった」と「あとがき」に編集者の松尾省三さんが書かれていました。詩作品群の最初に載っている北川透さんの御作品も、5ページにわたる散文詩。ことばの躍動と流れが面白い一篇です)

いま、詩を書くとき、次の詩集が求めるものを想像しながら書いています。一つの森や湖の地図を構成する、その一部を少しずつ埋めてゆくイメージでしょうか。

今回の散文詩「ひとりあるき」は、生まれたときに初めて見たはずの「ゆき」の感触や冷たさを、ことばと息のなかに潜ませるようにして書きました。

 お読みいただけましたらうれしいです。

 「イリプス IInd」は、出版社澪標のサイトからご注文できます。

Amazonでも購入できるようです→こちら




2021年2月27日土曜日

「詩と思想」2021年3月号にエッセイを寄稿しました

 「詩と思想」2021年3月号の「私の好きな詩と詩人」というページに、エッセイを書きました。

このページ、3月号から始まった新しい企画とのこと。その第一回目にお呼びいただき、とてもありがたく思っています。

「好きな詩人について自由に書いてください」とのことでしたので、自分が詩に惹かれるようになったいきさつから語り始め、大手拓次の詩との出会いとその魅力について書きました。

お読みいただけましたらうれしいです。

拓次は、白秋や朔太郎に比べるとマイナーな存在なのかもしれませんが、その詩を知れば知るほど、文語から口語へと移り変わろうとするあの時代に、こんなにも豊かな口語の散文詩や行分け詩をすでに表していたことに驚かされます。

拓次自身は散文詩は詩ではない、というようなことを語っていますが、拓次の散文詩には言葉の流れの美しさと、連想の豊かな飛翔があり、私はとても好きなのです。

(現在でも、こんなにも言葉自体に艶があり、細部にまで神経が行き届いた散文詩を書いている詩人が何人いるのでしょうか…)

詩によってはややグロテスクなモチーフが登場したり、ひどく陰鬱な雰囲気をまとっているものもあるので万人受けはしないのかもしれませんが、フランスの象徴詩をよく学んでいた彼ならではの五感の融合と、イメージの造形の繊細さはやはり魅力的。

私自身、言葉のなかで五感が響き合いながら広がる詩を書きたい、という思いがありますので、 拓次から得るものはたくさんあると、個人的には感じています。


2021年1月27日水曜日

「現代詩手帖」2021年2月号に詩を寄稿しました

 「現代詩手帖」2021年2月号の「作品特集」に、詩を寄稿しました。

「Ripple」という散文詩です。

これまで行分け詩をおもに書いてきたので、自分の書き方の領域を広げるためと、表したいものにふさわしい形を探るためにも、散文詩も試したいと思っています。

散文詩とはいっても、それがもし、何かしらの物語の筋を追うだけの平易な文章でしかないとしたら、これは詩なのかどうか、小説未満の単なるお話の断片ではないのか、など疑問に思う方もいるかもしれません。

もちろん、行分けされた文章であっても、かつて北原白秋が民衆詩派の作品の散文化を指摘したように、それを詩と感じさせるだけの言葉自体の質感や揺らぎ、比喩の重なりなどがそこになければ、その塊は単なる暮らしの報告やおとぎ話に見えるかもしれません。

どちらもしても、大切なのは言葉自体が魅力的かどうか。

例えば、入沢康夫さんの散文形式の「擬物語」が詩と感じられるのは、やはり言葉自体に密度や色艶があり、描かれるイメージと世界が謎めいていて多層的だからでしょうし、散文全体が大きな隠喩になりえているからだと思います。

個人的には、詩=行分け詩と決めつけずに、自分の言葉の多様性を探るために散文詩を書くのもいいのでは、と感じています。複数の時間と情景と語りを盛り込みやすい散文だからこそ書ける詩もあるのかな、とも。

今回「現代詩手帖」に書いた散文詩には、散文と散文の間に、独立した一行(一首)を入れました。散文の切れ目からまた別の光景や声の余韻が広がればいいな、と思ったのですが、成功しているかどうか。

ご覧いただけましたらとてもうれしいです。

「現代詩手帖」2月号の作品特集には、いま活躍しているおもに若い世代の詩人たちの書下ろし作品が並びます。

こうした、「現代詩手帖」の作品特集号や年鑑号を読むと、さまざまな詩が書かれていることが実感できます。

自分にはぴんとこない、わからない、これは詩ではない、と拒むのは簡単なこと。でもどんな詩にも、それぞれの書かれた理由があり、書いたひとの言葉への熱意やこだわりがあり、その詩を気に入る読者も存在するはず。詩人が100人いたら100通りの詩がある。これからもその違いを楽しみつつ、何よりも、自分の思う「詩」を、焦らずに求めていけたらと思います。

「現代詩手帖」2月号の目次は→こちら

(書店のほか、Amazonなどでも購入できます)