2021年2月27日土曜日

「詩と思想」2021年3月号にエッセイを寄稿しました

 「詩と思想」2021年3月号の「私の好きな詩と詩人」というページに、エッセイを書きました。

このページ、3月号から始まった新しい企画とのこと。その第一回目にお呼びいただき、とてもありがたく思っています。

「好きな詩人について自由に書いてください」とのことでしたので、自分が詩に惹かれるようになったいきさつから語り始め、大手拓次の詩との出会いとその魅力について書きました。

お読みいただけましたらうれしいです。

拓次は、白秋や朔太郎に比べるとマイナーな存在なのかもしれませんが、その詩を知れば知るほど、文語から口語へと移り変わろうとするあの時代に、こんなにも豊かな口語の散文詩や行分け詩をすでに表していたことに驚かされます。

拓次自身は散文詩は詩ではない、というようなことを語っていますが、拓次の散文詩には言葉の流れの美しさと、連想の豊かな飛翔があり、私はとても好きなのです。

(現在でも、こんなにも言葉自体に艶があり、細部にまで神経が行き届いた散文詩を書いている詩人が何人いるのでしょうか…)

詩によってはややグロテスクなモチーフが登場したり、ひどく陰鬱な雰囲気をまとっているものもあるので万人受けはしないのかもしれませんが、フランスの象徴詩をよく学んでいた彼ならではの五感の融合と、イメージの造形の繊細さはやはり魅力的。

私自身、言葉のなかで五感が響き合いながら広がる詩を書きたい、という思いがありますので、 拓次から得るものはたくさんあると、個人的には感じています。