2019年8月10日土曜日

『夏の航跡』を辿って…

7月に作った、小さな詩集『Sillage 夏の航跡』。

この一冊は、もともとは、7月に開催した詩のイベントのお客さまのために制作したもの。
ですが、ほかにもご購入を希望される方がいらしたので、通販サイト「BOOTH」でも販売しました(※完売しました)。
7篇のみの、ささやかな航跡ですが、たくさんの方にご購入いただき、ほんとうにうれしく思っております。
小さな言葉の雫が、誰かの胸にひそやかに、けれど、たしかに広がることを願うだけで、勇気が湧いてきます。

そして、3人の詩人が、ブログや詩のサイトでご紹介くださいました。

■詩が書けないとき、日常のなかで気持ちが泡立つ何かがあったとき、そっとその詩集を開きたくなる、大好きな詩人、岬多可子さん。
岬さんらしい繊細で温かいまなざしで、この小さな詩集を照らしてくださったことにとても感激しました。
「青闇色の」の記事はこちら(←クリックすると移動します)。

■そして、詩の魅力に柔軟に迫る、卓越した読み手である、瀬崎祐さんのブログ。
「瀬崎祐の本棚」の記事はこちら(←クリックすると移動します)。

「こういう作品を読むと、詩は理屈などではなく、余分なことは何も言わせない美しさがあればいいのだと思ってしまう」。
「このような形でまとめられたものとしてこの7編の作品を読むことができたのは、大変に嬉しいことだった」と書いてくださり、ありがたい気持ちでいっぱいです。

■もう一人の詩人、渡辺めぐみさんも、「詩客」というサイトの「今月の自由詩」というコーナーで、『Sillage 夏の航跡』のなかの作品「舟のなかで」を取り上げてくださいました。
渡辺めぐみさんによる、「詩客」「今月の自由詩」の記事はこちら

渡辺さんは、いつも濃やかに詩の細部まで読み取ってくださいます。
「生の厳しさと不穏さとジェンダーを超えた生命体としてのこの大宇宙へのぬかずくような拝礼感覚を感じさせる」。
「物欲を手放した身軽さが言葉の弾力を強めている」等々、自分では気づかない部分に触れてくださり、驚きました。

ツイッターでも、さまざまな感想をいただいています。
ブログやツイッターに書いていただいたことをこうしてお知らせするのは、少し照れ臭いのですが…ずうずうしく思われることを承知のうえで、書いてくださった方への感謝を表したくて、ご紹介しています。
詩集を読んだあと、それについて何か書こうとすることは意外と時間や手間がかかるもの。だからこそ、ありがとうございます、と、この場でお伝えできたらと思っています。

それに、一つの詩に対して、さまざまな受け取り方や読み方がある、ということも表せたら、という思いもあります。

少し落ち着いたら、自分が好きな詩集についても少しずつ、何か書いてみたいと思っています。
通りすがりの誰かに、こんなに素敵な詩がありますよ、と伝えられる場所を増やせたら…。

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先日、詩歴の長い、二人の詩人の対談を拝聴したのですが、長年、朗読嫌いかと思われていたIさんが、あまりに見事に朗読されたあと、もう一人の詩人Mさんに「え、Iさんって、朗読嫌いじゃなかったんですか?」と驚かれていました。
その問いかけに対するIさんの答えが、はっとするものでした。
「詩はほんとうにいいものなんだから、朗読でもなんでも、詩のよさをわかってもらうためには、何かしなくては」。

詩は書かれて終わり、なのではなく、誰かに読まれてはじめて、一つの作品になるのではないでしょうか。自分の作品を、新しい読み手のもとに、そして、ほんとうに必要としてくれる誰かにどうやって届けるのか…。詩人それぞれが、自分に適した方法を見つけられたら…と、Iさんの言葉を聞きながら、改めて感じました。